ストレスの原因にもなる「アンコンシャス・バイアス」とは?【こころの休憩室 vol.51】

こんにちは。

今回は、「アンコンシャス・バイアス」について、
わかりやすく解説したいと思います。

アンコンシャス・バイアスとは、
私たちが無意識のうちに持っている
偏見や思い込みのことをいいます。

例えば、
「男性は家庭より会社を優先すべき」
「女性は管理職に向かない」
「男(女)のくせに」
「若くて経験がないのでできるわけない」
「ベテラン社員は柔軟性がなくダメ」
などといった、

性別や年齢による
偏った判断をしてしまうことも
少なくありません。

1. では、なぜ私たちは
アンコンシャス・バイアスを
持ってしまうのでしょうか。

その理由の一つとして、
脳の情報処理の仕組みが挙げられます。

私たちの脳は、「早い思考」と「遅い思考」の
2つのモードがあります。

※ ノーベル経済学賞受賞の
認知心理学者ダニエル・カーネマンが提唱

大量の情報を効率的に処理するために、
過去の経験や常識などを基にして、
素早く判断しようとします。
これは「速い思考」と呼ばれるもので、
無意識に行われます。

一方、「遅い思考」と呼ばれるものは、
論理的に分析したり推論したりすることで、
意識的に行われます。

「速い思考」はエネルギー消費が少なく、
日常生活では便利ですが、
「遅い思考」が必要な場面でも、
「速い思考」だけで判断してしまうことがあります。

その結果、事実と異なるかもしれない
偏った見方や考え方に基づいて
行動してしまうことがあります。
これがアンコンシャス・バイアスの発生メカニズムです。

2. アンコンシャス・バイアスの種類

アンコンシャス・バイアスには
様々な種類がありますが、
代表的なものをいくつか紹介します。

  • 類似性バイアス
    自分と似ている人に好意的になり、
    自分と異なる人に否定的になる傾向です。
    例えば、自分と同じ趣味や価値観を持つ人を好きになりやすく、
    自分と違う考え方や行動をする人を嫌いになりやすいです。
  • 確証バイアス
    自分の持っている仮説や信念を裏付ける情報に注目し、
    反する情報を無視する傾向です。
    例えば、自分は優秀だと思っている人は、
    自分の成功した経験や評価に焦点を当て、
    失敗した経験や批判に目をつぶります。
  • ハロー効果
    ある特徴が良いと判断されると、
    その人の他の特徴も良いと判断される傾向です。
    例えば、見た目が美しい人は、
    知性や性格も良いと思われがちです。
  • ホーン効果
    ある特徴が悪いと判断されると、
    その人の他の特徴も悪いと判断される傾向です。
    例えば、見た目が怖い人は、
    乱暴で意地悪な人と思われがちです。

3. アンコンシャス・バイアスの問題点

アンコンシャス・バイアスは、誰にでもあるもので、
悪意があるわけではありませんが、
ビジネスや社会において
様々な問題を引き起こす可能性があります。

例えば、採用や昇進の際に
アンコンシャス・バイアスが働くと、

多様性や公平性が損なわれ、
自分と似た人としか協力しなかったり、
異なる意見や視点を受け入れなかったり、
能力や実績に基づいた評価が
できなかったりすることがあります。

そのため、モチベーション低下や
ハラスメントの増加、
チームワークやコミュニケーションへの悪影響、
組織のパフォーマンス低下や
ストレスの原因となってしまうことがあります。

4. アンコンシャス・バイアスの解消法

では、どうすればアンコンシャス・バイアスを
解消することができるのでしょうか。

その方法の一つとして、
「自分の持っているバイアスに気づくこと」が重要です。

自分は公平であると思っていても、
実は無意識に偏見や思い込みを持っているかもしれません。

また、自分と異なる属性や価値観を持つ人と
積極的に交流することも有効です。

異なる視点や意見に触れることで、
自分の思考や行動に柔軟性や幅を持たせることができます。

さらに、組織やチームのレベルでも、
アンコンシャス・バイアスに対抗する
仕組みや文化を作ることも必要です。

例えば、採用や昇進の際に
客観的な基準や評価方法を設定したり、
組織内の多様性を推進する活動を
実施したりするなどがあります。


アンコンシャス・バイアスは
人間の本能的なものでもあるため、
完全に消すことは難しいかもしれません。

しかし、自分が持っている
アンコンシャス・バイアスに気づき

解消することができれば、
より豊かな人間関係や
活気あふれる職場づくりができるでしょう。

皆さんもぜひ、これまで気づかなかった
「アンコンシャス・バイアス」を持っていないか、
振り返ってみる機会にしていただけると幸いです。


2023年4月
文責: 大内

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