ストレス反応が起きるまで【こころの休憩室 vol.49】

こんにちは。
働く皆様の心身の健康をサポートする、えがおパートナーズです。

これまで私たちは、ストレスに関するさまざまな情報を発信してきました。

今回は、ストレスの原因に直面した脳や身体が、
どのように反応するかを改めてご説明します。
おもな内容は次の通りです。

  • どんなことでもストレスの原因になります。
    何にストレスを感じるかは人それぞれです。
  • 脳ではストレスの度合いが評価され、
    感情が引き起こされ、身体へ指令が発信されます。
  • ストレスを感じると、体はストレスに対処するための準備をします。
    • 一方で、ストレス対処と関係ないことは後回しにされます。

何がストレスの原因になるのか?

まず、具体的にどんなことがストレスの原因になるのでしょうか?

恐怖や怒りを感じるようなできごとはもちろん、
そうでないこともストレスになります。

例えば結婚は一般的におめでたいことですが、
生活に大きな変化を伴う関係上、
本人にとってはある程度ストレスになるでしょう。
マリッジブルーとよくいいますが、それほど特別なことではないのです。

どんなこともストレスになり得ますが、
ストレスとして感じる度合いは、人それぞれ異なります。
その理由は、起きたできごとをストレスとして評価する仕組みに関わっています。

ストレスを感じるとき、脳では何が起こるのか?

それでは、あるできごとを脳がストレスとして処理するときの、
一連の流れを見てみましょう。

大脳皮質:記憶をもとにストレスの程度を評価します。

大脳皮質は脳の表面近くにあります。
「脳」と聞いてイメージされる画像で見える部分のことですね。

その大脳皮質は、脳のより内側にある海馬から、
できごとに関連する記憶を引き出します。

そして、その記憶をもとに、
それが自分にとってどのくらいの脅威になるかを評価します。

強い脅威として評価されれば、感じるストレスも大きくなるでしょう。

何にどれだけストレスを感じるかが人によって違うのは、
評価のもととなる記憶が、人それぞれ異なるからです。

このストレス評価は無意識のうちに行われます。
ストレスに単なる「気の持ちよう」で対処できないのはこのためです。

大脳辺縁系:感情を引き起こすことで行動を促します。

大脳辺縁系は、大脳皮質の内側にあるいろいろな部位をまとめた名称です。

こちらでは、記憶に基づいた感情が引き起こされ、
行動を起こす原動力になります。

例を挙げるまでもないかもしれませんが、
靴の中に砂利が入っていると、
痛くて不快なので、靴を脱いで砂利を取り除こうとしますね。
一方で砂利があまり気にならなければわざわざ靴を脱いだりはしないでしょう。

視床下部:信号を発し、身体に変化を起こします。

視床下部は、視床という丸い部位の下にあるので、このような名前で呼ばれています。
大脳辺縁系の更に内側にある非常に小さな部位ですが、
身体の各所に指令を発する役割を担っています。


起きたできごとに対して、過去の記憶をもとに脅威度を評価するところから、
ストレス反応は始まると分かりました。

できごとに対処するべきだと分かると、
行動を起こしやすいように感情が沸き起こり、身体も対処の準備を整えるのです。

ストレスを感じたとき体に起こること

視床下部から発された指令を受け取って、
心臓がドキドキしたり、体が震えたりし始めるのが、ストレス反応です。
自覚できるものの他にも、体ではいろいろな変化が起きています。
おもなストレス反応は次のようなものです。

  • ストレス対処に必要な行動をしやすくする。
    • 瞳孔を開き、光をより多く取り込んでものがよく見えるようにします。
    • 筋肉が、より多くの力を発揮できるように準備します。
      • 筋肉にエネルギーを運ぶために、血圧や心拍数が高まり、呼吸も早くなります。
      • 筋肉のエネルギーとなる糖を生成します。
    • 手や足の血管を収縮させ、怪我をしたときの出血量を減らします。
    • 脂質代謝を高め、視床下部からの指令にあたる物質(ホルモン)の供給量を増やします。
  • ストレス対処に必要ではないことを後回しにする。
    • 消化や排泄をいったん止めます。
    • 免疫反応が抑制されます。
      特に慢性的なストレスでは、病気になりやすくなります。

それにしても、こうした変化は本当に「ストレス対処に必要」なのでしょうか?

緊張で心臓がドキドキすると、落ち着いた対処がしづらくなって、
悪影響に感じませんか?

これには、ストレスの原因が変化していることが関わってきます。
ときに厄介なストレス反応との付き合い方も含めて、来月、より詳しくお伝えします。


2023年2月
文責: 林

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