「チームの心理的安全性」について【こころの休憩室 Vol.30】

みなさん、こんにちは。
働く皆さまの心と身体の健康をサポートする「えがおパートナーズ」です。

昨年来のコロナ感染がなかなか終息しない中、東京オリンピックがいよいよ始まります。

併せて、連日のアメリカ大リーグ大谷選手の大活躍をテレビの前でニヤニヤしながら
朝から勇気づけられている方も多いのではないでしょうか。

オリンピック競技や野球などのチーム競技では、
チームで結果をだすには特定の個人のパフォーマンスに頼るより、
チーム全体としてのパフォーマンス(チームワーク)の優劣が
勝敗を大きく左右することが多いかと思います。

会社などのチームも同様で、
いくら優秀なメンバーを揃えたところで
チームとして必ずしも高いパフォーマンスを発揮できるとは限りません。

そこで、チームとして高いパフォーマンスを発揮するためには
何が重要なのかを考えてみます。

1. バブル前とバブル後のチームのあり方が変化した

バブルが崩壊する前の時代では、
常に右肩上がりに成長し、過去の延長線上に今の答えがあって、
ある程度先が読める時代でもありました。

したがって、早く、安く、大量に、ミスなく、
言われた通り仕事をこなすことが仕事のセオリーでした。

このような時代には、強いリーダーシップのもと、
平均的(金太郎飴的)なメンバーがいれば、
高いパフォーマンスをあげることができました。

しかしバブル崩壊以降は、まさに「VUCA」の時代になり、
過去の経験や強いリーダーシップだけでは限界があり、
個々のメンバーのアイデアを尊重し、主体的な判断や能力を結集させることが、
チームとして高いパフォーマンスを発揮する重要な要素となりました。

※VUCA(ブーカ) 「Volatility:変動性」「Uncertainty:不確実性」「Complexity:複雑性」「Ambiguity:曖昧性」の頭文字

では、そのためにはどのようなことが必要になるのでしょうか?

2. Googleの社内研究

(参考サイト⇒https://rework.withgoogle.com/jp/subjects/teams/

リサーチチームが、数百に及ぶ変数に対して35種類以上の統計モデルを駆使して、
収集した大量のデータ項目のうち
チームのパフォーマンスの効果に影響を与えている
以下5つの要素を突き止めました。

  1. 心理的安全性
    チーム内では不安(恐れ)のない状態にあり、自由に意見やアイデアを出したり行動したりでき、
    ミスをしてもそれを理由に非難されることはない
  2. 相互信頼
    チーム内のメンバー同士が信頼し合っていて、
    チームメンバーは、一度引き受けた仕事は最後までやりきってくれると思える
  3. (目標や仕事の)構造と明確さ
    チームに短期目標と長期目標や各メンバーの役割が明確になっていて、
    有効な意思決定プロセスがあると思える
  4. 仕事の意味
    メンバーがチームのためにしている仕事は、自分自身にとっても意義があると思える
  5. インパクト
    メンバーやチームの成果が組織の目標達成にどう貢献するかを理解している

Google のリサーチチームによれば、
チームのパフォーマンスに効果が高い上記の5つの要因の中でも、
圧倒的に重要だったのが「心理的安全性」だったようです。

心理的安全性の高いチームは、高パフォーマンスだけに留まらず、
離職率が低くなり、
他のチームメンバーが発案した多様なアイデアを
うまく利用することができ、
収益性が高く、
マネージャーから高評価される機会が2倍多い
という結果もでたようです。

ちなみに、これまで私たちが重要と考えていたような、

  • チームメンバーの働き場所(同じオフィスで近くに座り働くこと)
  • 合意に基づく意思決定
  • チームのメンバーが外交的であること
  • チームのメンバー個人のパフォーマンス
  • 仕事量
  • チームの規模
  • 在職期間

などは、Google 社内のチームにおいては、
仕事のパフォーマンスの効果にはそれほど影響していないという結果だったようです。

会社によって一概には言えませんが、意外と思う方も多いと思いますが、
とても重要な示唆を得る内容だと思います。

3. 「チームの心理的安全性」不足の悪影響

では、なぜチームの心理的安全性が不足すると
仕事のパフォーマンスに悪影響がでるのでしょうか。

理由として、次の4つの不安(恐れ)により
個人のパフォーマンスに悪影響を与えるといわれています。

  • 「無知」だと思われないか不安になる(恐れる)
  • 「無能」だと思われないか不安になる(恐れる)
  • 「邪魔」だと思われないか不安になる(恐れる)
  • 「否定的」だと思われることが不安になる(恐れる)

普通に考えても、このように不安(恐れ)に支配された職場だと、
誰も積極的にアイデアや意見を言わなくなり、コミュニケーション不足になるのは明らかです。
結果的にワーク・エンゲージメント(3月号参照)にも悪い影響を与えます。

4. 心理的安全性の高い職場づくりの勧め

「心理的安全性」が高い職場では、安心して自分の考えを自由に発信でき、自由に行動できるため
ストレス緩和などメンタルヘルスの面でも効果があるといえます。

このように、生産性向上、離職率低下、健康経営実現など
たくさんのメリットだらけの「心理的安全性」を向上させる
チーム(職場)づくりを行ってみるのはいかがでしょうか。

次回9月号では、「チームの心理的安全性」という概念を最初に提唱した、
ハーバード大学のエイミー エドモンソン氏の研究についてご紹介したいと思います。

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