わかりやすく話す【こころの休憩室 vol.10】

皆様の心身の健康をサポートする、えがおパートナーズ株式会社です。
今回、次回と二回に分けて「職場のコミュニケーション」についてお伝えしたいと思います。
今回のテーマは「わかりやすく話す」ことです。

皆さんは“職場のコミュニケーション“と聞いた時に、どのようなことを思い浮かべますか。
上司や同僚、部下とのコミュニケーション、お客さまとのコミュニケーションなど、
人間関係がスムーズに気持ちよく過ごすために必要な関わり方・スキルなどのイメージを持たれるのではないでしょうか。

今回は、職場でもプライベートでも大事だとされながら、
なかなか難しいコミュニケーションについて考える機会にしたいと思います。
そうは言っても、コミュニケーションの考え方の幅は広いです。
まず、今回は“話す”と“聞く”の双方向のコミュニケーションのうち、
“話す”こと(情報の伝達)に焦点を当てて考えてみたいと思います。

まず、前提として、コミュニケーションの語源を確認してみましょう。
コミュニケーション(communication)の語源は、ラテン語のコミュニス(communis) 、
つまり、共通したもの、 あるいは共有物(common コモン)と言われています。
これは、 職場のコミュニケーションの本質を理解する上で、とても重要なことです。

情報の伝達において“共通したもの”、あるいは“共有物”としての概念を満たすには、
発信する側の自分と、受け取る側の相手の認識がほぼ同じになるようにする必要があります。
つまり、自分自身の頭の中に描いたイメージと、相手の頭の中に描かれたイメージが、さほど違わず認識された状態です。
そのためには、話し手は“相手に分かりやすく”話して、聞き手はわからないところは“質問をする”
双方向のコミュニケーションを取ることが大事です。

例えば、上司から「この資料のファイリングだけど、やってもらえる? 前にやった感じとほとんど一緒だから」と言われて、
「ああ、前にやったとの同じように、ですね。」とやってみた結果、
上司から「こんなことお願いしてないでしょう。もう私がやるからいいよ。」などと叱られてしまったことはありませんか。  

さて、このやり取りでは、本当に部下だけが叱られることだったのでしょうか。
職場のコミュニケーションの“情報の伝達”においては、話し手と聞き手の頭の中のイメージを一緒にする目的がありました。
はたして上司は、あなたが仕事をしやすいように具体的な指示を出すことができたでしょうか。
一方、部下であるあなたは、上司からの説明を受けて、不明点について質問をしたでしょうか。
つまり、コミュニケーションが上手く取れない状況においては、話し手と聞き手の双方に責任があるということになります。

それではここからは、わかりやく話すための手法を考えてみましょう。
わかりやすく話すには、どうしたら良いか。
例えば、起承転結にそって話す、ロジカルに話すなど手法は様々ありますが、比較的簡単で使いやすい手法をご紹介します。

それは、「なに、なぜ、どのように、たとえば」と話を進めることです。

まず「なに」では、その仕事をしてもらう(何が)目的か、(何が)ゴールか、意味は(何か)を伝えます。
例えば、ファイリングの仕事をお願いする時に、ファイリングの目的を話します。「ファイリングの目的は“なに“かと言えば、誰がみても、わかりやすく、迅速に情報が調べられるように、閉じてあることが大事です」と先に伝えることで、聞き手は頭の中で「なるほど。わかりやすく、迅速に情報を調べられればいいんだ」と、全体像をイメージすることが出きます。

次に「なぜ」その仕事をお願いするのか、理由、根拠を示します。
人は、何かを頼まれる時に、理由や根拠がはっきりしないと、「どうして、それを、私がやらなければならないの?」と納得感が得られない思いに囚われることがあります。人は納得しないことは、あまりやる気になれません。
そこで、例えば、「このファイリングをあなたにやってもらいたい理由は、ファイリングをしながら、お取引先名や、取引内容などがどうなっているかを、確認しておいて欲しい。今後の仕事に役に立つから」等、ニーズに合わせた説明をします。

そして「どのように」では、やり方、方法を伝えます。
例えば、「ファイリングの仕方は、顧客ごとにあいうえお順で並んでいます。顧客ごとのフォルダーは、逆時系列、つまり、新しい日にちが上になっています」など、やり方を具体的に伝えます。ここまでくれば、聞き手は、だいぶ、あなたの説明どおりに、ファイリングをしてくれそうなイメージが湧いてきたのではないでしょうか。

最後に「たとえば」で、具体的なエピソードを伝えたり、提示したりします。
通常、聞き手の経験や知識によっては、「なに、なぜ、どのように」まで話しが進むと、「たとえば」がなくても、思った通りの仕事をしてくれるでしょう。ただし、人は自分の経験と知識で人の話を聴いていると言われます。従って、経験や知識不足があると「たとえばね、……」がとても重要な役割を果たします。
例をあげると、以前にやってもらったことのあるファイルを手渡し、「このファイルに近い形でお願いね。ただ、この点とこの点が違うから気を付けてね」などと具体例を示します。そうすることで聞き手の頭の中に、「あ、なるほどね。わかった!」となれば大成功です。
経験も知識もバラバラの人にわかってもらうには、話し手と聞き手が、同じ土俵で話をすることが大事なのです。

「わかりやすく話す」ため、一つの伝え方のルールはいかがでしたでしょうか。
一見、面倒のようにも見えますが、これができていれば、後でこんなはずではなかったと言うことが減ってくると思います。
ぜひ、「なに、なぜ、どのように、たとえば」をお試しになってはいかがでしょうか。

次回は、双方向のもう一方の責任者である、話をいかに聞くかについて、考えていきます。
引き続き宜しくお願いいたします。

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