脳活性化の鍵!【こころの休憩室 vol.54】
みなさん、こんにちは。
働く皆さまの心と身体の健康をサポートする「えがおパートナーズ」です。
今回は運動が脳に及ぼす良い影響についてお話ししたいと思います。
ところでみなさんは、週にどれだけ運動してますか?
忙しくて全く運動していないという方も多いかと思います。
運動は健康にとって良いことは疑う余地はないですが、
一般的に私が知っていることは、
定期的な運動は、体の代謝や免疫力を高めてくれ
健康にいいということくらいでしょうか。
しかし、最近の研究で、運動は体だけではなく、
脳にも良い影響を与えることが分かってきています。
中でも、アンデシュ・ハンセンという
デンマークの心理学者が提唱する
「運動脳」という概念が今注目されています。
「運動脳」とは、運動によって脳が活性化される状態のことです。
運動をすると、脳内の血流が増えて、酸素や栄養が豊富になります。
また、ストレスや不安が減って気分が良くなります。
これらの効果によって、運動をすると集中力や創造力が高まるのです。
●運動が脳に与える効果
ハンセンは、運動が脳に与える効果を多くの研究で示しました。
例えば、
- 運動することで血流が増えます。
血流が増えると酸素や栄養素が脳に届きやすくなります。
海馬の血流量も増え記憶力を高める - 海馬は25歳以降は毎年1%ずつ小さくなっていきますが、
運動することで縮小するどころか
むしろ大きくなることが研究で明らかになっています。 - 運動することで前頭葉が活性化されます。
前頭葉は創造性や計画性に関わる部分です。 - ストレスを受けた際、
副腎皮質から分泌されるストレスホルモンであるコルチゾールが増え、
海馬や前頭葉というストレス反応を制御する部分を萎縮させてしまいます。
運動することでコルチゾールの分泌量が減少します。 - 運動することでBDNFという物質が分泌されます。
BDNFは新しい脳細胞の成長を助け、脳の老化を遅らせ、
認知症のリスクを低減するとも言われています。 - 運動することでドーパミンという物質が分泌されます。
ドーパミンはポジティブな気分にさせたり、
目の前のことに集中させる効果があります。 - 運動することでセロトニンという物質が分泌されます。
セロトニンは不安や恐怖を和らげる効果があります。 - 運動することでエンドルフィンという物質が分泌されます。
エンドルフィンは気分を良くする効果があります。 - 運動はストレスやうつを減らします。
など…運動ってすごいですね!
●運動をしたら、なぜ脳が活性化するのか?
人間は1万年前の脳とほとんど変化がなく、
いろいろな外部刺激に対し1万年前と同じ反応がおきます。
1万年前は移動や食料確保、敵に対処するために、
体を動かさなければ生命を維持できない環境でした。
そのため、体を動かすことが自然で、
動かすことで脳を含めた体のあらゆる機能が強化されるような
体の仕組みになっているようです。
現代社会のように、SNSやゲームをして一日中動かないとか、
パソコンに向かったまま仕事をして
長時間にわたって椅子から離れない状況の方が、
人類にとって異常事態といえるのかもしれません。
脳は年齢とともに衰え続けると思っていた方が多いと思いますが、
脳は条件によっては細胞が新生し再構築するようです。
その条件の一つが運動にあるようです。
年取れば衰えると諦めかけていた私たちにとっては朗報です。
●脳のアップグレードに効果的な運動の方法
運動は根気よく継続しなくては、
先に挙げたような効果は生まれません。
人間の脳には1000億個の細胞があり、
細胞同士のつながりの数は100兆に及びます。
運動により、その脳の血流が増え、新しい細胞や血管が形成され、
脳の各領域同士の結合が強化されるまでは、
少なくとも数か月から半年の時間が必要です。
運動といっても、
マラソンやトライアスロン、筋力トレーニングのような
強い運動をする必要はありません。
ハンセンは、
心拍数を上げる運動、
週に5日以上の30分のウォーキング、
若しくは週に3日以上のランニングなど、
心拍数が上がり、
汗をかくような有酸素運動をすることを勧めています。
しかし、それが難しい場合でも、
少しでも運動することが大切だと強調しています。
運動が脳と体に良い影響を与えること、
興味を持っていただけましたか?
もし興味があれば、
ぜひアンデシュ・ハンセンの「運動脳」を読んでみてください。
きっと、すぐにでも運動を始めたくなること間違いなしです。
- 参考文献
- アンデシュ・ハンセン著,「運動脳」,サンマーク出版,2022年
- ニュートン別冊「ストレスと脳の取扱説明書」,ニュートンプレス,2023年
2023年7月
文責: 大内