自然と健康【こころの休憩室】

カバー画像出典:PAKUTASO
こんにちは。皆様の心身の健康をサポートする「えがおパートナーズ」です。
自然(Nature)の中にいると気持ちが穏やかになったり、
心が安らいだりする経験がある人は多いと思います。
これまで経験的に知られていた自然のリラックス効果ですが、
これに加えて健康増進効果もあることが科学的に明らかになってきています。
今回は、自然のリラックス効果と、日常に自然を取り入れる方法をご紹介します。
なぜ自然にリラックス効果があるの?
ヒトは長い間自然環境の中で生活を行っていました。
現在のような都市環境で生活をするようになったのは産業革命以降、
ヒトとしての歴史の1%にも満たない期間です。
そのため、ヒトの体は自然に触れると快適さを感じ、リラックスするようにできています。
自然に適応しているにも拘らず、都市環境で生きる現代人は
日常的に強いストレスにさらされているという考え方は、
ニュージーランドの研究者によって
Back-to-Nature theory(自然回帰理論)と名付けられています。
自然のリラックス効果とは?
自然によるリラックス効果は経験的には知られていましたが、
科学的なデータは不十分でした。
自然の感じ方は個人差が大きく、
アンケートを用いての調査が中心となっていたため
評価が難しかったことが理由です。
近年、医学的な検査技術の急速な発達があり、
ようやく自然のリラックス効果に科学的なデータが示されるようになりました。
森林部と都市部でそれぞれ散歩中や座って景色を眺めているときの
血圧や心拍、脳の活動を計測したり、
前後での唾液中のストレスホルモンの変化を比較したりする実験が
日本各地の森林で行われました。
その結果、森林浴を行うと
- ストレスホルモンが減少する
- 副交感神経活動が高まる(リラックス状態になる)
- 交感神経活動が抑制される(ストレスが抑制される)
- 血圧が高い人は下がり、低い人は上がり適切な状態に近づく、生体調整効果がある
- ナチュラルキラー細胞活動が高まり、免疫が上昇する
- 抗ガンたんぱく質が増加する
などの効果があることがわかりました。
リラックス効果だけでなく健康効果もあることから、
予防医学分野でも森林浴が注目されています。
科学的根拠に基づいた森林浴は「森林セラピー」と呼ばれていて、
環境や施設の整備状況、アクセスなどが考慮された認定基地があります。
バリアフリーや企業研修に対応している森林セラピー基地もあり、
森林散策や動植物の観察だけでなく、
森林の中でのヨガや調理・工作などの体験プログラムが用意されている場所もあります。
身近な自然でもリラックス
森林浴が心身によいとはいうものの、住んでいる地域によっては
森林浴ができる場所に向かうのにも一苦労……ということもあると思います。
実は、森林などの大きな自然だけでなく、
公園や庭などの中程度の自然、盆栽や花き・木製品や精油などの小さな自然にも
リラックス効果があることが実験により確認されています。
- 公園と都市を散歩した場合の比較で、公園の方がリラックスしていた
- 果樹園と建物を眺めた場合の比較で、果樹園の方がリラックスしていた
- 盆栽や観葉植物を見た場合、なにも置かなかった場合よりもリラックスしていた
- 切りバラを見た場合、なにも置かなかった場合よりもリラックスしていた
- プランター植えのパンジーを見た場合、造花を見た場合よりもリラックスしていた
- バラの香りやバラ・オレンジ・シソ精油を嗅いだ場合、
空気の場合よりもリラックスしていた。
匂いを嗅ぎ続けると感じづらくなる
嗅覚疲労が生じた場合でも、リラックス効果は継続していた - 木に触った場合、大理石やタイル、ステンレスに触った場合よりもリラックスしていた。
無塗装の木材と各種塗装がある木材の比較では、
無塗装の木材に触れた場合が最もリラックスしていた - 自然の音は、種類によって様々な効果を得られる。
たとえば鳥のさえずりはストレス緩和に効果があり、
水の流れる音はポジティブ感情を引き出す - 花の画像を見ることでストレスが緩和される
このように、身近にある様々な自然からも
リラックス効果を得られることが判明しています。
日常に自然を取り入れよう
都市環境で生活をしているだけで、
ヒトは日常的にストレスに晒さらされています。
パソコンやスマートフォンの待ち受け画像を植物に変えてみる。
目につきやすい位置に、切り花や観葉植物を置いてみる。
いつもの通勤ルートから少し外れて、ビオトープや街路樹の見える道を歩いてみる。
新しい家具を選ぶとき、木製の家具を選んでみる。
週末には、自然豊かな公園や森林でのんびり過ごす。
小さなことからでも生活の中に自然を取り入れて、
ストレスの緩和や健康増進につなげてみてはいかがでしょうか。
2025年11月
文責:飯島
- 参考文献
- 自然セラピー研究室,http://www.fc.chiba-u.jp/research/naturetherapy/index.html,国立大学法人千葉大学 自然セラピー研究室,2025年10月31日閲覧
- 森林セラピーソサエティ,https://fo-society.jp/,特定非営利活動法人 森林セラピーソサエティ,2025年10月31日閲覧
- 国立公園に、行ってみよう! | 環境省,https://www.env.go.jp/nature/nationalparks/,環境省,2025年10月31日閲覧

