健康と食事の関係【こころの休憩室 vol.44】

みなさん、こんにちは。
働く皆さまの心と身体の健康をサポートする「えがおパートナーズ」です。

今回のテーマ「健康と食事の関係」について、
現在臨床医でもあり、同時に複数の企業で産業医としてご活躍の
渡辺由紀子医師に執筆していただきました。

そもそも、かつては成人病とも呼ばれた生活習慣病
(高血圧、糖尿病、高脂血症、高尿酸血症、
脂肪肝やアルコール性肝障害などの肝機能障害、動脈硬化など、
広義には癌も含みます)の
治療の第一段階は食事運動療法であり、
西洋医学的に健康と食事は切り離せません。

と同時に、東洋医学的にも、
身土不二、食養生、あるいは薬膳などの言葉があるように、
その土地でとれた季節の食材を食べることで、
体調の不良を防いだり健康が保たれると考えられています。

まず総論的にいうと、一日三食、できるだけ規則的に、
炭水化物、タンパク質、脂質、ビタミン、ミネラルの
栄養バランスのとれた食事をとることです。

生活習慣病になりやすい方の食事は、
カロリーオーバー、糖質過多、脂質過多が多いので、
食べ過ぎない事、特にご飯を大盛にしたりお替りしない事、
アルコールを飲み過ぎない事、
どんぶりや麺類などの単品メニューばかり食べない事、
意識して野菜をとることなどがお勧めです。

アルコールについては、適量として一日あたり純アルコール量20g
(大体「ビール中ビン1本」
「日本酒1合」
「チューハイ(7%)350mL缶1本」
「ウィスキーダブル1杯」などに相当)
という基準があります。意外に少ないですね。

食事の仕方については、まず大事なのが良く噛む(かむ)ことです。

食べ物を歯で咀嚼して細かくすることと、口の中で唾液と混ぜることで、
唾液中のアミラーゼという消化酵素が働き、消化の第一歩となります。

また、食べる順番として、野菜から先に食べることで、
食物繊維で胃が膨れて、食べ過ぎを防ぐ効果もあります。

また、寝起きには、睡眠時に休んでいた胃腸を働かせるために、
まず水を一杯飲むことをお勧めします。これは快便にも結び付きます。

逆に夜寝る前には、脳の覚醒効果で入眠を妨げるカフェインや、
睡眠の質を悪くするアルコールの摂取はできるだけ控えた方がよいです。

次に、代表的な生活習慣病に対して、おすすめの食べ物、
あるいは避けた方がいい食べ物などをあげます。

日本人に一番多い高血圧については、何より減塩です。

食塩の中のナトリウムが血圧を上げるため、塩、醤油などの味付けを薄味にすることです。

また、ナトリウムとは逆にカリウムは血圧を下げるため、
カリウムの多い食材、野菜や果物は積極的にとりましょう。

糖尿病については、カロリー制限が基本ですが、特に糖質の摂りすぎに注意が必要です。

カロリーについては、肥満度の指標であるBMIを上限の25で理想体重を計算(身長mの二乗×25)し、
1kgあたり25kcalで一日の総カロリーが計算できます。

糖質については、量を控えめにすることと同時に、急激に血糖値を上げないことも大事です。
具体的には、液体が一番急激に血糖値を上げるので、
缶コーヒーなどの清涼飲料水を飲まない事、
GI値の低い(血糖値をゆっくりあげる)食材やメニュー、
例えば白米より雑穀米、うどんよりそばを選ぶ事などです。

高脂血症(脂質異常症)については、
コレステロールの多い食材、加工油や肉の脂身を食べ過ぎない事、
逆にコレステロールを下げるEPA/DHAの多い魚介類や
食物繊維の多い野菜、雑穀、茸、海藻などを積極的に食べることがすすめられます。

最後に、少しだけ季節の薬膳について触れます。
今年は梅雨前から猛暑が続きましたが、これから秋になっていく時期です。

夏場は胡瓜や西瓜などのウリ科の食材が
体を冷やすものとして取りたい食材でしたが、
秋になって乾燥していく季節に向けて、
冬瓜や梨、あるいは大根などの白い食材をとるとよいです。

タンパク質をしっかりとることも大事で、
夏場は食べやすい豆腐(冷ややっこ)や枝豆もおすすめでしたが、
秋は季節の秋刀魚などもおすすめです。

以上、ざっとお話しましたが、よく言われますが、
私たちの体を作っているのは、日々口にしている食事です。

健康を保つのも食事からという意識で、
体に良い食事をおいしくとるように心がけていただければ幸いです。

2022年9月
文責: 産業医 渡辺

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