燃え尽きないための働き方【こころの休憩室】

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こんにちは。働く皆様の心身の健康をサポートする「えがおパートナーズ」です。

今回は仕事における「モラル・ディストレス」と、
それが引き起こす「バーンアウト」についてお話しします。
どちらも熱意を持って働く人が経験しやすいものです。

燃え尽きの原因のひとつ
「モラル・ディストレス」とは?

働いていると、自分では納得できないことをしなければならないときがあります。
例えば、売上のために本来不要なサービスをお客様に勧めるよう上司から指示されたら、
あなたはどう感じるでしょう?
「そんなことをしてもお客様のためにならないのに」と思い、
罪悪感を抱えながらも、指示に従うしかないかもしれません。

このような心理的な負担を「モラル・ディストレス(道徳的苦悩)」といいます。
「モラル」は言い換えれば「道徳」です。
「ディストレス」は「苦悩」を意味し、特に有害なストレスを指すこともあります。

モラル・ディストレスは医療・福祉の現場で経験しやすいものですが、
個人の「正しさ」を曲げざるを得ない状況は、どんな仕事でも起こります。

ご自身がモラル・ディストレスを感じているかどうか、チェックしてみてください。
ひとつでも「はい」と答えられることがあれば、
それはモラル・ディストレスの経験によるものかもしれません。

モラル・ディストレスのチェックリスト




燃え尽きにつながる「ひたむきさ」

悪いことに、モラル・ディストレスは繰り返されるほど悪化します。
「正しくないことが起きているのに、何もできなかった」こと自体が
モラル・ディストレスになるのです。

モラル・ディストレスだけが原因になるわけではありませんが、
この状態はバーンアウトを招くことがあります。
バーンアウトとはいわゆる「燃え尽き症候群」のことです。
仕事をしてきた人が、まさに燃え尽きたように仕事への意欲を失ってしまう現象をいいます。

「最善の仕事ができたか分からない」ことに思い悩み、
燃え尽きれば、もはや悩むことはないのかもしれません。
しかし仕事へのモチベーションもありませんから、生産性は大幅に下がってしまいます。

モラル・ディストレスと
バーンアウトに対処する

自分の信念に反する環境でも燃え尽きずに働くには、どうすればよいでしょうか。
職員が燃え尽きかけていたある託児所の事例をもとに考えてみましょう。

ある託児所では仕事のやり方を職員の自由に任せたことが、かえって職員を消耗させていました。
全てを自分で判断しなければいけないので、
仕事熱心な人ほど「あれも、これも」と気を配って疲れていたのです。
託児所は職員の仕事の割り当てを明確にし、ルールをしっかり決めることで、
個人にかかる負担を減らすことに成功しました。

ここから分かるモラル・ディストレスやバーンアウトへの対処法は2つあります。

1. 「自分にできることはここまで」と決める

いくら理想や情熱があっても、個人には限界があります。
「自分で全てこなさなければならない」という使命感を一旦脇において、
無理なくできる範囲を見極めましょう。

不要なサービスを勧めるよう指示され、従わざるを得ないのも、
それは「自分にできる範囲」ではなかったというだけです。
「余計なサービスを勧める分多くのお客様に対応できず、売り上げが下がる」といった
データを集める機会と考えると、「自分にできること」が新たに生まれたとさえいえます。

2. 仲間や組織で対処する

託児所の事例では、全体で改善に取り組んだことも功を奏しました。
悩み、燃え尽きかけている人がいると互いが気付けば、組織全体で解決を目指せます。
第一歩は、自分の意見を話してみることです。
不要なサービスを勧めるよう指示された場合も、
指示した上司自身が内心「何か違うな」と感じているかもしれません。

このとき「自分にできることは伝えることまで」と決めておけば、
モラル・ディストレスを感じづらいでしょう。
伝えた時点で自分の目的は達成されているからです。

おわりに――仕事以外の時間に目を向ける

モラル・ディストレスを経験したり、バーンアウトしかけたりしていると、
仕事以外の時間でも仕事のことを考えてしまいがちです。
そんなときこそ自分の時間を確保しましょう。
趣味や気分転換が思い浮かばなければ、料理や掃除、洗濯に時間をかけるか、
部屋の模様替えをするのはいかがでしょうか。

信念のある人材が燃え尽きてしまうことは企業にとって損失であり、
その人の今後のキャリアにも大きく影響します。
個人で、組織で、炎を絶やさないよう心がけてください。

2024年10月
文責:林


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