ストレスフリーに伝わる文と表【こころの休憩室】

カバー画像出典:PAKUTASO
こんにちは。皆様の心身の健康をサポートする「えがおパートナーズ」です。
先月は「ストレスフリーに伝わる資料の作り方」と題して、文字や色、余白の扱い方をご説明しました。
今回は「文」と「表」の作り方について考えてみましょう。
「伝えたいことを分かってもらえていない気がする」とお悩みのとき、お役に立てば幸いです。
文――短さは分かりやすさ
ポイント
- 「短い一文」は、どんなときでも分かりやすい
- 余計な要素を省き、一つの文章で一つの内容を伝える
- 最初は思いつくまま書き、後から整理して短くする
分かりやすい文章には特徴があります。一文が短いことです。
短い文章は構造が単純です。
一方、ひとつの文が長いほどその構造は複雑になり、その分難しくなっていきます。
「伝える」ための文章として、一文を短くするときは
「ひとつの文でひとつだけ伝える」ことを心がけてください。
主語と述語をひとつずつ使ったら句点(文末の「。」)を置きます。
「伝える」ための文ですから、もってまわった言葉づかいやあいまいな表現は避けましょう。
実際に「これがああでこうで、それで……」と考えながら書いているときは、
どこで区切ればいいか分からないこともありますね。
まずはそれでも構いません。思いつくまま書いてから短くすればいいのです。
単語は思い浮かぶのに文章にならないときも、まずは書けるだけ書きましょう。
あとから単語同士を繋ぎ合わせれば、最低限の文になります。
最初から完璧に書こうとせず、伝えたいことを整理してシンプルに整えることが大切です。
余裕があったら言葉を磨いて「美しい文章」に仕上げていきましょう。
表――「使う」か「見せる」か?
ポイント
- 他人と「使う表」か、他人に「見せる表」かを判断する
- 冗長に見えても編集しやすさ第一の「使う表」
- 一目で伝えたいことが分かる「見せる表」
表を作るときに重要な問いがひとつあります。「それは使う表か? 見せる表か?」です。
「使う表」とは自分自身や他の人が編集・入力を行うための表です。
一方、「見せる表」とはプレゼン資料や印刷物として他人に情報を伝える・見せるための表です。
「使う表」と「見せる表」は別のものです。
ここを間違えると、「使う」にあたって都合がよくても「見せる」には適さない表や、
「見せる」分にはいいものの「使う」となると苦労する表ができあがります。

見づらい表は当然理解を損ないます。
使いづらい表も、使いづらさに気を取られ、
表の内容への意識がおざなりになってしまいます。
きちんと中身を見てもらえるよう、用途によって作り方を変えましょう。
「使う」表は編集しやすいことが第一です。
並べ替えや行・列の増減に手間をかけない作りにすることを心がけましょう。
一方「見せる」表は、情報が分かりやすく伝わることを優先します。
セルを結合して情報量を減らしたり、複数の表を並べたりしても差し支えありません。
「使う表」作りで心がけること
- セルを結合しない。
- ひとつのセルに複数のデータを入力しない。
- ひとつのシートにいくつも表を並べない。
- 同じ列や行に書かれた項目名を省略しない。
- 空白で体裁を整えない。
「使う」「見せる」の両方に使えるテクニックもあります。
例えば行の背景に一行おきに薄い色をつけることです。
罫線より設定は大変ですが、その分表全体がすっきりし、行を間違えづらくなります。
「使う表」と「見せる表」の両方が必要な時は、別々に用意するといいでしょう。
「使う表」にデータを入力したら、必要な情報を抽出してデザインを整えた「見せる表」を作ります。
最新バージョンのExcelではデータを抽出するFILTER関数などが実装されています。
「使う表」に入力されたデータに変更があると、
自動的に「見せる表」へ反映させられます。
相手や状況によって、適切な伝え方は変わってくることでしょう。
迷ったときは「一文は短く」「使う表・見せる表」に立ち返り、伝え方を調整していきましょう。
2025年2月
文責:林
- 参考文献
- 高橋佑磨・片山なつ,「伝わるデザイン」, https://tsutawarudesign.com/, 2025年1月16日閲覧
- 文化庁, 公用文作成の考え方, https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkashingikai/kokugo/hokoku/pdf/93651301_01.pdf, 2025年2月14日閲覧
- 総務省, 統計表における機械判読可能なデータ作成に関する表記方法, https://www.soumu.go.jp/main_content/000723626.pdf, 2025年2月13日閲覧