心の不調で頼れる資格・診療科【こころの休憩室 vol.55】

皆さん、こんにちは。
心身の健康をサポートする「えがおパートナーズ」です。

猛暑と台風で、体はもちろん心にも負担の大きい季節です。
さらに、帰省に伴う移動や親戚との付き合いなどで、
心まで夏バテしていませんか。
レジャーをめいっぱい楽しまれた方も、
日常生活に戻る余力もないくらい、
へとへとになっていませんか。

きっかけが暑さにせよ他の要因にせよ、
心の調子が悪いと感じたときは、
専門家へ相談することが重要です。

今回は、どんな専門家を頼ればいいかの
道案内になる情報をお伝えします。

誰かに相談したい、でも誰に?

困っていることや悩んでいることを相談したいとき、
どんな人を頼ればいいのでしょうか?

「心理」や「カウンセラー」といった、
それらしい名のつく職業や資格は多彩です。
そのような単語が含まれなくても、
心の相談に乗ってくれる専門家もいます。

まず、特に仕事に関わる相談先として、
3つの資格について簡単にご説明しましょう。

仕事に関わる人間関係・コミュニケーションのお悩みは
「産業カウンセラー」への相談をおすすめします。
産業カウンセラーは働く人に寄り添い、
その人自身による問題解決を助けてくれます。

自分と職業の間で問題が起きているなら
「キャリアコンサルタント」の資格をもつ人への
相談が向いています。
職業生活の充実は心の健康にも影響します。
キャリアコンサルタントの助けを借りれば、
前向きに仕事に取り組める環境への道筋を立てられます。

「産業医」は、50人以上の人が働いている事業所に
必ず配置される医師です。
怪我や病気だけでなく明るさや換気、
休憩時間といった環境全体について、
働く人の健康を損なわないよう取り計らいます。
「仕事だから仕方がない」と思っていることも、
ぜひ相談してみてください。

最後に、心に関すること全般を扱える国家資格に
「公認心理士」があります。
分野を問いませんので、
問題が仕事以外の面に及んでいたり、
自分でも辛さの原因が分からなかったりするときに
頼れる存在です。

「心療内科」と「精神科」、何が違うの?

相談に留まらず、医師の診察や治療を受けたいとき
「心療内科」と「精神科」の
どちらを選べばよいのでしょうか。
2つの診療科には重なる部分もありますが、
それぞれ焦点は異なります。

一つの方針として、
身体に症状があれば「心療内科」、
そうでなければ「精神科」を探しましょう。

心療内科は
心理的な要因で体に現れる症状に対処します。
「仕事の締め切りに追われ、胃が痛い」ときなどです。
症状の原因に心のあり方が関わってくる都合上、
心の病気を診ることもあります。

いっぽう精神科は、心の病気そのものに対処します。
「高いところが怖くて階段も上れない」とき、
恐怖という感情、つまり心自体に働きかける必要がありますね。
こういった場合は精神科を頼ります。

決められないときは、病院に決めてもらう

難しいのは、心の不調全てが
精神科や心療内科の領分になるとは限らないことです。
例えばパーキンソン病は、
脳で働く物質のドパミンが減ってしまう病気です。
身体の震えだけでなく、
抑うつの症状が現れることがあります。

この場合、症状の改善に繋がるのは
脳神経内科での治療です。

ある程度迷ったら
「病気の有無や種類を判断するのは専門家の仕事」と
割り切ることも必要です。

不調の内容を手短に伝え、診察を受けられるかどうか、
病院側の判断を仰ぎましょう。

「メンタルクリニック」「こころのクリニック」と
名前のついた医療機関は、心療内科や精神科が中心です。
両方受け入れているようなら、
どちらが適切か考慮してくれます。

精神科や心療内科はハードルが高いというときは、
いま関わりのある医療機関で相談してみることも
選択肢の一つです。

まとめ

  • 人間関係は「産業カウンセラー」、
    仕事の適性は「キャリアコンサルタント」に相談しましょう
  • 「産業医」は心身の病気だけでなく、
    職場環境の改善も仕事です。
  • 仕事以外も含んだ全般的な問題は
    「公認心理士」が頼れます。
  • 身体の症状は「心療内科」、
    心の症状は「精神科」で診てもらいましょう。
    • 判断できない場合は症状を伝え、
      病院側に決めてもらいます。
    • かかりつけの病院へ相談することも
      選択肢の一つです。

「まだ大丈夫」と思っている方こそ、
今のうちに相談先に予約をしてみましょう。

相談や受診を心に決めても、
実際に気持ちが楽になるまでには時間がかかります。
ずっと先の予約しか取れなかったり、
自分に合った診療科や相談先ではなかったりするからです。

しかし、今のうちに予約を取れば、
実際に相談や診察へ赴くのは
過ごしやすい季節になるかもしれません。
直接助けにはならなくても、
あなたの困りごとを解決できる人や場所を
知っている人と知り合える可能性もあります。
お伝えした内容が、転ばぬ先の杖になれば幸いです。


2023年8月
文責: 林

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